つやつや作品のための照明

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これまでに絵画、彫刻、工芸などいろいろな作品と向きあう照明器具を作ってきましたが、一番難しいなと感じたのが、なめらかな釉薬がかかった陶器と、状態の良い漆器です。
この両者とも、表面が非常になめらかで、照明器具がバッチリと映り込みます。表面が極度になめらかでない作品ですと、照明器具の映りこみは気にならないので、照明器具の発光面はどんなものでも良いのですが、陶器や漆器ですと照明器具の発光面の形状などが案外重要なポイントになります。
また、光の振る舞いについて別のいい方をすると、その作品相手に投じた光がその表面で正反射し、光が飛んできた方向と逆の方向に飛んで行ってしまいます。
陶器や漆器の場合は当然のことながらその表面に色や模様などがあり、それらが鑑賞対象になるのできちんと見たくなります。しかしながら前述したようになめらかな表面が災いし、なかなか思い通りに鑑賞者に満足な量の光が届かないこと良くあります。

このような照明を設計していくのは、シミュレーションなど机上での検討はほぼ役に立たず、実物と同じ寸法的な環境を用意し、実験していくしかありません。

(これは照明実験の風景です。手前と奥の影の大きさなどが確認事項でした。案外と面倒臭いことをやった上での光です。)

その環境で見せるものが一定(同じもの)であれば、専用の照明環境を作れるのである程度の質に持って行けますが、一般の展示ケースの様に展覧会の度に展示される作品が変わる場合(99%位こちら)には、何を入れてみても一定の妥協が生じます。この辺り、仕事の数だけ後悔が生じる理由だったりもします。

つやつや作品は難しい分だけに、美術品相手の照明器具屋としては歯ごたえ十分で一番面白い対象なのかも知れません。

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