道楽

ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界@三菱一号館美術館

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

歴史と深く関わりのあるジュエリーを一挙に

7月19日に開催された「ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界 1780年パリに始まるエスプリ」展の特別内覧会の様子をご紹介します。

展示風景より ジョゼフ・ショーメ《カールのティアラ》1907年頃 プラチナ、ダイヤモンド

ショーメ(Chaumet)は1780年にマリ=エティエンヌ・ニトにより創業されたジュエリーの老舗です。ナポレオンはジョゼフィーヌ、マリー=ルイーズとの結婚のため、ショーメにジュエリーを注文しました。ショーメ展ではそんな歴史を持つニトの時代から現在に至るまでの240年間、歴史と深く関わりのあるジュエリーを一挙に見ることができます。
イベントでは、ブログ「青い日記帳」主宰のTak氏、三菱一号館美術館 館長 高橋明也氏、三菱一号館美術館 学芸員 岩瀬 慧氏のお話を伺うことができました。

まずは館長の高橋氏より今回の展覧会の見どころが語られました。
高橋氏のオルセー美術館時代の同僚であり、ルーヴル美術館名誉館長アンリ・ロワレット氏と共同監修の下、三菱一号館美術館としては珍しいブランドとのコラボレーションとなった本展。
三菱一号館美術館で開催することで2017年4月から7月まで北京の故宮博物院(紫禁城)にて行われた「Imperial Splendours」展とはかなり趣も異なり、紫禁城の「インペリアル」な雰囲気でしたが本展ではより繊細さを感じられる展示となっているとのことでした。
また皇帝ナポレオン1世より贈呈された教皇ピウス7世のティアラは今回の展覧会のためにバチカンから来たもので修復されたばかりだそうで、これも北京の展示にはなかったものです。

展示風景より アンリ・オーギュスト(金銀細工職人)、マリ=エティエンヌ・ニト、フランソワ=ルニョー・ニト 《皇帝ナポレオン1世より贈呈された教皇ピウス7世のティアラ》 1804-1805年(後世に数回修正) ゴールド、シルバー、金箔、エメラルド、ラインストーン、 真珠、合成石、カットガラス、シルクのヴェルヴェット、 ラメ入りのゴールド、金属糸、木、紙

学芸員の岩瀬氏は「PARIS オートクチュール― 世界に一つだけの服」展や「レオナルド×ミケランジェロ展」も担当されていましたが、今回の展覧会の大変さはまた他の展覧会とは違ったと語りました。ショーメ展では会場デザインはフランスからファッションショーのデザインチームが52人も来日し、フランス語飛び交う現場だったそうです。1つ1つの展示室のテーマに沿ってデザインされた空間は1室1室が異なる雰囲気を醸し出しています。

本物を見る意義を感じられる宝飾

例えば1つめの「歴史の中のショーメ」では、ジュエリーと絵画を一緒に見てほしいとの思いがあったそうです。また、こちらの展示ケースはもともとショーメの歴史を1列で見せるケースになる予定だったそうですが、行列になりやすい1列での展示を避けるため、館長が一人一人関係者を説得したというエピソードも。

展示風景より I 歴史の中のショーメ

2つ目の「黎明期のミューズ」の展示では皇妃ジョゼフィーヌが好んだ麦をモチーフにしたジュエリーが展示されていますが、それに合わせて展示ケースにも麦があしらわれています。今回の展覧会のメインビジュアルとしても使われている「麦の穂のティアラ」について、館長の高橋氏は、風にたなびいているかのような麦の穂の繊細さに注目してほしいということです。Tak氏もキラキラと輝くジュエリーは、立体物を本物で見る意義を感じられるとコメントしました。

展示風景より II 黎明期のミューズ

3つ目の「戴冠!ティアラの芸術」も力が入っているとのことで、壁面に一堂に飾られたマイヨショール(洋銀などで制作されたモデル)もさることながら、本物のティアラの1つ1つの迫力、素材の力を感じてほしいとのことでした。

展示風景より III 戴冠!ティアラの芸術 ティアラの数々

展示風景より 展示風景より III 戴冠!ティアラの芸術 一面のマイヨショール

そして最後の「遥けき国へ」は日本がテーマとなっています。創業者マリ=エティエンヌ・ニトがマリーアントワネットの漆器を管理し、革命期には漆器の鑑定にも参加していたそう。その由縁から「マリー・アントワネットの日本の漆器コレクションの硯箱」も今回展示されています。

展示風景より マリー・アントワネットの日本の漆器コレクションの硯箱

またここで展示されているジャポニスムのブローチ「雷神」は学芸員の岩瀬氏がその面白さについて触れました。
「1900年頃作られた雷神は俵屋宗達の描いた雷神とは全く異なりジャポニスムとしていろいろなものと交じり合った姿をしています。太鼓はタンバリンのようだし、服を着て女性と向かい合っている様子は日本では見られない構図です」

展示風景より ジョゼフ・ショーメ《ジャポニスムのブローチ「雷神」》1900 年頃

西洋文化における宝石の重要さ

キラキラと光り輝くジュエリーが数多く飾られているショーメ展ですが、西洋の宝石に対する文化の我々との違いも感じられると館長 高橋氏は語りました。
「日本の宝石である勾玉や珊瑚はこれらの宝石と違いキラキラと光り輝いているわけではありません。西洋のジュエリーの輝きは教会のステンドグラスにも通じる輝きです。西洋文化の光への憧れ・欲望もまた、宝石を家宝として代々受け継いだり、財産として最後まで持って行く宝飾への態度につながっているのではないでしょうか」

展示風景より ニト ショーメ《「クレーヴクール」として知られる麦の穂のティアラ》1810-1910年 ゴールド、ダイアモンド

展示風景より

「宝飾の技術的な歴史としてはダイヤモンドのカッティングだけでなく、地金にも技術の発展が見受けられます。今回の展示では、技術が発展するにつれ、きらめきが変わって来ることも感じられます。また、トランブルーズの技術が用いられたティアラでは、バネがティアラに付いていて宝石を震えさせてきらめかせるなど、面白い工夫が凝らされたものもあります」

ただきれいというだけでなく、西洋的な価値観や歴史も感じられるショーメ展。写真では伝わりにくいきらめきが体感できます。

展示風景より

ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界—1780年パリに始まるエスプリ
会期:2018年6月28日~9月17日
会場:三菱一号館美術館
住所:東京都千代田区丸の内2-6-2
電話番号:03-5777-8600
開館時間:10:00~18:00(金、第2水、9月10日~13日 〜21:00)
休館日:月(7月16日、9月10日、17日、トークフリーデーの7月30日、8月27日は開館)
料金:一般 1700円 / 高大生 1000円 / 小中生 500円

北京の「Imperial Splendours」展の様子はこちらのバーチャルツアーで見られます。
https://www.chaumet.com/jp/imperial-splendours/introduction
また、ヴァンドーム広場12番地にて期間限定で開催されたショーメ回顧展のバーチャルミュージアムもこちらで体験できます。
https://www.12bis.chaumet.com/jp/

今回は特別内覧会ということで特別な許可を得て、写真撮影・公開しております。通常、撮影は撮影許可エリアでのみ許可されています。

関連記事

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す

*