美術館・博物館の展示用照明の種類

美術館・博物館の展示用照明の種類

今回のテーマは美術館・博物館の展示用照明の種類についてで、壁付ケース・独立ケースの照明の構成について解説します。

美術館・博物館の展示室の構成

美術館・博物館の展示室全体はおおまかに下の図のような構成です。

展示室の構成

日本の多くの美術館・博物館では、壁面に設置された比較的大きな容積を持つ壁付ケースが多く用いられています。西洋絵画など額装されている展示品は、開放空間の壁面に直接展示されることが多いです。小型の展示品は、四方から鑑賞できる独立ケースを用いて展示します。

壁付ケースの照明の構造

壁付ケースは美術館・博物館の壁一面が展示ケースとなっています。壁付ケースにはウォールウォッシャーといわれる照明器具が設置されていることがほとんどです。ウォールウォッシャーが展示ケース内のベースの照明となり、壁面及び床面を照らします。ベースの照明は鑑賞者の見やすさを保つため、均一な照度であることが求められます。
また、大型の展示ケースの場合には、さまざまな展示品に対応するために、スポットライトを設置できる構造を持たせることも多くあります。スポットライトは、展示ケース内や展示室の天井のライティングダクトから展示品を個別に照らし、調光の強弱で展示品を演出する役目があります。

壁付ケースの構造

展示品によっては下部照明を取り付ける場合もあります。折り皺のきつい掛軸等の影の緩和や、屏風の金色の映りを良くする役割があります。
熱切ガラスは照明器具から発せられる熱を遮断するために設置されます。

独立ケースの照明の構造

独立ケースは4方向から、より近くで展示品が鑑賞できるケースです。展示品の近くに器具が配置されることもあるため、照明器具も、より目立たない意匠が求められます。

独立ケースの構造

一般的な独立ケースでは、上部に照明器具を収めるための場所があります。この中にベースとなる照明を行う照明器具が設置されます。
更に、演出のために上部にスポットライトを設置したり、ケース床面に下部スポットライトを設置する場合もあります。

各種展示用照明器具の構造とその特徴については以下の記事にてご紹介いたします。

照明器具の構造と特徴

[参考文献]

関英雄監修.LED照明のアプリケーションと技術-光学設計・評価・光学部品-.シーエムシー出版,2012,255p

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