美術館照明のモックアップの重要性

美術館照明のモックアップの重要性

キテラスの仕事は、対象となる物を最もきれいに見せる光を考え作る事です。
製造の流れは光学設計、機械設計、試作評価、製造、納品というフローで進めます。弊社で作るものは美術館・博物館それぞれ固有の条件に合わせてつくるカスタムメイドが多く、本番の製品をお作りする前にモックアップ検証を行い、光の精度を上げていきます。

今年からデビューした実験室では、照明実験のために壁が真っ黒、実験時には窓も黒く潰して真っ暗な環境で実験ができるようになりました。

壁も床もカーテンも黒い

今回は覗きケースのモックアップで器具の高さや角度などの諸条件を、展示物を想定した物を置いてみて確認と調整を繰り返して、実際の仕様に落とし込んでいきます。

  • 照度、演色性、輝度、均斉度などを測定

    モックアップ器具の均斉度を測定
  • 明るさや色温度を調整

    色温度の違いによって対象物の見え方も変わります
  • 器具の高さ、角度を調整

    本当は絵巻物が欲しいところですが…

実際の展示を想定して、照らす対象物も色々用意してます。反射する物だと光源の映り込み等もあるため、どういう状態がベストなのか、数値に現れない部分を詰めていきます。

展示物を想定した実験用の品々(親分の愛蔵品)

エンドユーザーの方にもこのような検証にご参加いただくこともあります。実際の展示環境とは異なりますが、展示環境を踏まえて照明をイメージしていただくためです。

「指標にまとめ切れない?」の記事にも、【数値をもって比較が出来ると便利なのですが、見た目の印象については、その印象を確実に現せる指標が無さそう】とある通り、スペックだけではわからない部分を詰めていき、よりきれいに見せる光を作りこみ、お客様と照明のイメージを共有するために、実験室は大活躍してくれそうです。

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